『英単語イメージハンドブック』ってどんな参考書?

英単語イメージハンドブック
大西泰斗, ポール・マクベイ
青灯社

英単語を学習していると、似ているけれど少しニュアンスが違っている動詞や意味を覚えにくい前置詞に巡り合うことって、ありませんか?
そうしたややこしい表現をイメージで覚えられるコツを教えてくれる参考書が、『英単語イメージハンドブック』です。

「単語をイメージで覚える」とはどういうことなのか、そして、『英単語イメージハンドブック』とはどんな内容の本なのか、その参考書の中身について詳しく紹介します。

単語の意味の細かい違いをイメージで覚える!

英単語には、意味が似ていてもニュアンスが微妙に異なるものが多くあります。
例えば、「持っている」という意味の動詞を英語にすると、多くの人が“have”を真っ先に思い浮かべると思いますが、細かく分類すると“own”や“possess”も「持っている(所有する)」に含まれます。
しかし、それらはそれぞれ違ったイメージを持っており、正しく使い分けることで細かいニュアンスの違いを相手に伝えることができます。

英単語意味イメージ
have持っている など近接
own所有する名前が書いてある
possess所有するしっかり身に付ける、掴んで離さない

引用・参考:大西泰斗/ポール・マクベイ『英単語イメージブック』(2008)青灯社 pp.67-69

他にも、“see”、“look”、“watch”の違いや“listen”と“hear”の違いなど、似ているけれど意味が少しずつ異なる単語があります。

それらの違いをイメージで覚えることができるようになると、正しい英語表現が身に付き、英作文や英会話のスキル向上にも繋がります。

日本語では、文脈やその場に応じて言葉のニュアンスを聞き手や読み手が分類して理解しますが、英語は話し手や書き手が、文脈や場面に応じた単語を使い分けてニュアンスの違いを相手に伝えます。

そうした日本語にはない感覚を身に付けることも、英語を習得するために必要なことの一つです。
言葉には一つ一つイメージがあり、それらを覚えることができれば、正しい英語を使う練習にもなります。
訳が同じでも意味が違う単語を知ることで、表現の幅が広がります。

大西泰斗さん著書のダイジェスト版

この参考書の著者である大西泰斗さんは、『英単語イメージハンドブック』までに12冊のイメージ関連の英語参考書を出版しています。
『英単語イメージハンドブック』は、まさにそれら12冊のダイジェスト版と言える参考書です。

これまでに出版された参考書の重要な部分がこの一冊にまとめられているので、いろいろな単語イメージ参考書を購入する必要がありません。

日本語にはない可算・不可算、単数・複数の使い分けも分かりやすく解説

可算名詞・不可算名詞や、単数名詞・複数名詞といった考え方は、基本的に日本語にはありません。
そのため、これらを正しく使って英文を作ったり英会話をしたりすることは、日本人にとって苦手なことの一つです。

そこで役立つのが、イメージでの理解です。
これらの日本語にはない英語的な概念にもイメージがあり、それを理解することで正しい英語を使う力を伸ばすことができます。

例えば、この参考書では、ややこしい“no+単数形”と“no+複数形”のニュアンスの違いについても解説されています。
また、無冠詞の文章のニュアンスについても書かれているので、英語的な名詞の数の考え方などがよく分からない人にも、おすすめです。

前置詞の覚え方はこんな感じ

前置詞は、意味を言葉で覚えるよりもイメージで把握した方がより理解しやすい英単語です。
例えば“on”は、「~の上に」と覚えている人も多いのですが、正確には“on”のイメージは「接触」です。
この参考書でも、「上に乗っている」という基本イメージが書かれていますが、同時に、「接触」というイメージにも言及しています。

他にも、英語における前置詞の数は多く、言葉で意味を全て覚えるのは困難ですが、イメージで理解してしまえば正しく使うことができるようになります。
また、前置詞のイメージを正しく理解することで、前置詞を使った慣用句なども理解しやすくなります。

このテキストでは慣用句のイメージも絵と文章で解説されているので、単語一つ一つを正しく覚えるだけでなく、それらを使った応用力も身に付けることができます。

ややこしい時制もイメージで覚える

時制のイメージも、この参考書で正しく覚えることができます。
時制の文法に厳密なルールがあるのも英語ならではの特徴なので、時制のルールがよく分からないという人も多いのですが、『英単語イメージハンドブック』では、それもイメージで覚えられるよう分かりやすく解説してくれています。

また、苦手な人が多い未来を表す現在形や仮定法、過去完了形や未来完了形などについても、絵と文章でイメージを掴むことができるので、それらのややこしい文法も理解しやすくなります。

助動詞の使い分けもできるようになる

助動詞が持つイメージを理解できれば、“can”の複数の訳し方や、“must”と“have to”、“will”と“be going to”のニュアンスの違いなどを分かった上で英文を作ることができるようになります。

また、間違えて覚えやすい“had better”のニュアンスについては、知っていないと“should”と間違えて使ってしまいコミュニケーションの相手に誤解を与えてしまいかねません。
「“had better”のほうが丁寧で優しそう」と思っている人も多いのですが、“had better”は“should”よりも強く、目上の人に対して使ってはいけない表現です。

この2つの助動詞についても丁寧に解説されているので、助動詞の区別が苦手な人にも、この参考書はとてもおすすめです。

その他にも、接続詞や、その他の重要表現のイメージと解説も書かれています。
英語の重要語句をイメージで理解し、英語を使いこなすために必要な多くの知識を得られる参考書なので、英語学習の効率アップに役立ててみてはいかがでしょうか。

英単語イメージハンドブックをおすすめできる人・できない人

分かりやすく丁寧な解説が特徴の『英単語イメージハンドブック』ですが、どんな参考書であっても、合う・合わないはあるものです。
そこで、この参考書は、どんなタイプの人におすすめなのか、考察してみました。

おすすめできる人

  • 中学校や高校での英語が苦手な人
  • TOEICや検定などのために普段から英語を勉強している人
  • 英語力をアップさせたい中級者~上級者にも

学校での英語の授業で、単語がなかなか覚えられない人や、単語テストや英語の試験でもっと良い点数を取りたい人には、この参考書がおすすめです。
英単語や、助動詞や時制などの文法を、イメージを通して覚えられるので、単語だけでなく、英語ならではのルールも詳しく学ぶことができます。

また、その先の英語学習にも生きるので、中学校や高校で英語を学習している人にはぜひ読んでもらいたい参考書です。

さらに、TOEICのハイスコアや英検合格を目指して普段から英語を学習している人にも、この参考書はおすすめです。
辞書で調べるといろいろな意味が出てきて覚えにくい単語も、絵と文章の解説で簡単に覚えられます。

TOEICや英検に出題される英文法や語彙の正しい理解にも繋がるので、普段の学習の中で活用してみましょう。
例えば、この参考書の中で説明されている“consider”(熟考する、よく考える)や“suppose”(~だと思う、仮定する)、“assume”(想定する、憶測する)などはTOEIC頻出の動詞です。
これらの動詞もイメージで覚えることができれば、意味を忘れにくくなり、TOEICのスコアアップや英検合格に役立ちます。

既にハイレベルな英語力を持っている人であっても、意味を正しく覚えられていない単語や文法があることは珍しくありません。
TOEICのハイスコアを持っていても前置詞の使い分けが苦手という人もいます。

そういった英語中級者~上級者の知識の補強に、この参考書はとても役立ちます。
英語は得意だけれど知識にムラや穴があるという人は、この参考書で単語や文法を復習してみるのがおすすめです。

おすすめできない人

  • 読み込むタイプの参考書が苦手な人
  • 英語をこれから勉強しようと考えている人

『英単語イメージハンドブック』はとても分かりやすい参考書ですが、これまでに出版されたイメージ関連の英語教材のダイジェスト版ということもあり、ページ数は200ページ以上と、内容はとても豊富です。

さらに、絵でイメージを掴みやすいのは間違いないのですが、それぞれの英単語についてとても丁寧に解説されているので、しっかり読んで学習することで、より効果を発揮できる教材です。

ページ数の多い教材や読み込むタイプの参考書が苦手な人にとっては、学習を続けにくいかもしれません。

また、これから英語を勉強したいと考えている英語初心者にとっては、この参考書はかなり難しい内容となっています。
一通り文法を学んでいないと、書かれている説明や紹介されている慣用句などを理解できないので、英語学習経験があまりない人は、まず別教材で英単語や英文法の学習を始めましょう。

その途中で、前置詞や助動詞などを覚える段階に到達したら、この参考書を普段使っている教材と併用して、それらをイメージで理解するのが良いでしょう。

『英単語イメージハンドブック』のレベル

英単語 イメージハンドブック

英語学習を始めたばかりの人には少し難しい

先に述べたように、英語学習の経験があまりない人の学習には、この教材は不向きです。
解説で使われている例文や慣用句は、英語学習の経験がそれなりにないと理解できないものが多いので、単語や文法をある程度理解する英語読解力が必要です。
また、紹介されている単語や文法によっては、高校生レベルのものも含まれています。

今は、高校生レベルの単語がわからない人でも、英語学習をしばらく続けていくと、助動詞や時制、接続詞などをなかなか正しく覚えられないときが来るかもしれません。
そのときは、この参考書を読んでイメージで覚えるようにすると効果的です。

英語が得意な人でも読み応えあり!

この参考書は「英語が得意!」という人にこそ、読んでほしいと思います。
単語や文法の知識がしっかり身に付いているからこそ、書かれている解説も理解しやすく、英語に詳しい人のさらなるレベルアップに繋がる例文や慣用句もあります。

例えば、前置詞“on”を使った慣用句として紹介されている“on the verge of~”(~寸前、今にも~しそう)という表現は、TOEICのハイスコアや英検の上級を目指す場合に覚えておきたい表現です。
知識が豊富な英語学習者にも応えられる内容になっているので、さらに英語の力を伸ばしたいと考えている人におすすめの参考書です。

『英単語イメージブック』での学習の方法・注意点

音声はないので発音は別の方法での学習が必要

この参考書の目的は、英単語を覚えることではなく、英単語をイメージで理解することなので、音声は付いていません。
そのため、まずは別の音声付き単語教材で単語の発音と意味を覚えてから、あるいは単語を覚えているときの追加学習としてこの参考書を活用するのがおすすめです。

一度読んで終わりにしない!

まとめて一度に読む人もいれば少しずつ読む人もいるかと思いますが、どちらにしても、一度読み終わった後も繰り返し読むようにしましょう。

文法を復習したいときや、単語のイメージを忘れてしまったときなどに、何度も読むのがおすすめの活用方法です。
調べたい単語は、参考書の最後にある索引ですぐに見つけられるので、すぐに復習ができます。
何度も読んで何度も確認して、どんどん単語を覚えていきましょう。

主にどんな学習効果がある?

英作文練習に役立つ

単語の持つイメージをもとに意味を覚えられるので、頭で思い浮かべたイメージと合致する単語を使って文章を作ることができるようになります。
つまり、英作文で「あの単語とあの単語、どちらを使うのが正しいのだろう?」と迷うことが減り、それによって、英語での文章作成がスムーズになります。

前置詞の選択で迷うことが減る

前置詞の使い方は、日本人が特に苦手なものの一つと言えます。
「この場合は“to”なのか、それとも“for”を使うべきなのか……?」というように、前置詞の選択で迷ってしまうことはありませんか?

『英単語イメージブック』では、様々な前置詞のイメージが分かりやすく解説されています。
前置詞のイメージと使い方を覚えて、文章の中で使う前置詞を素早く正確に選ぶことができるようになれば、英文作成や英会話もスムーズになっていきます。

英文を頭の中でイメージしやすくなる

英文を読んでいて、その文章の映像が思い浮かびにくいときは、単語の意味だけでなくイメージを覚えられていないのかもしれません。
それぞれの単語の持つイメージを覚えられれば、文章の風景を思い浮かべやすくなります。

また、単語のイメージをしっかり覚えられていれば、単語のまとまりである熟語の意味も理解しやすくなります。
英文の中で出てくる単語や熟語をイメージで理解し、英文を読んだらすぐにその光景が頭に浮かぶようになれば、英文読解もスムーズになります。

評判・口コミはどう?

『英単語イメージブック』を実際に使った人はどのような感想を持っているのでしょうか。
この参考書の評判・口コミをいくつかピックアップして紹介します。

単語の量を覚えたいだけの受験生向きではない。しかし、本当に英語を自由自在に操れるようになりたいのであればこの本は読むべき。ネイティブ独特のニュアンスの違いなどが、丁寧過ぎず、簡潔にまとめられている。(10代男性)

期待通り!特に、使うのに迷いやすい前置詞はとても勉強になった。1回では覚えられないので、何度も読み直してみようと思っている。(40代女性)

この手の本はたくさんあるが、本書はシンプルでイメージが捉えやすい。特に、冠詞については“the”と“a”で迷うことが多いが、本書のイメージが非常に参考になった。他にも、動詞、助動詞、前置詞、接続詞など品詞ごとにまとめられている。(30代男性)

この手の本はたくさんあるが、本書はシンプルでイメージが捉えやすい。特に、冠詞については“the”と“a”で迷うことが多いが、本書のイメージが非常に参考になった。他にも、動詞、助動詞、前置詞、接続詞など品詞ごとにまとめられている。(30代男性)

解説がもうちょっと欲しいところで解説が終わってしまうところに物足りなさを感じる。読まないよりは読んだ方が単語に対するイメージが湧いて良い。(30代女性)

イメージを大切にしている教え方で、とても分かりやすい。かなり重宝している。(20代男性)

この他にもレビューは多くありますが、概ね高評価です。
単語の意味を丸暗記するのではなく、それぞれの単語が持つイメージをしっかり理解した上で使いこなせるようになりたいと考えている人には、うってつけの参考書と言えるでしょう。

楽天・Amazonでの取り扱いや中古販売について

書籍なので、楽天やAmazonなどのインターネット書店でも購入できます。
ポイントを使いたい人や、近くに書店がない人は、これらのサービスを活用して入手するのがおすすめです。

古本屋でもこの参考書の中古品が売られていることがあるようですが、2017年10月1日現在、ブックオフオンラインで調べてみたところ、値段は1,550円(税込)で、定価の1,944円(税込)と比べてそれほど大きな差はありません。

少しでも安く手に入れたい場合以外は、新品を定価で手に入れるのがおすすめです。

同じ著者の『一億人の英文法』もおすすめ

『英単語イメージブック』と同じ著者が執筆した『一億人の英文法』も、イラストやイメージ解説などを通して、英語を使いこなす文法を身に付けるための本です。

分かりやすい例文や解説を通して、英文法をシンプルに、かつ感覚的に覚えられるので、文法がなかなか理解できず悩んでいる人におすすめです。

TOEICや英検、受験や学校の試験などのために英語を勉強している人は、『英単語イメージブック』と一緒にこの参考書も活用して、英文法の完全攻略を目指してみてはいかがでしょうか。

ページ数は700ページ近くありとても分厚いので、持ち運びにはやや不向きですが、本気で英文法をマスターしたいと考えている人が知りたい知識が詰まった良書なので、毎日の家での英語学習に活用するのがおすすめです。

ページ数は多いですが、絵やイメージが多く、表現も堅苦しくないので、学習を続けやすいのもメリットの一つです。

ダイジェスト版である『英単語イメージハンドブック』を読んでみて、もっと知りたい!となったら、より詳しく解説されている『一億人の英文法』を購入するというのもいいでしょう。

まとめ

前置詞や時制など、日本人が苦手とする英語独特のルールはとても多く、ただ丸暗記するだけでは単語や文法を使いこなせるようにはなりません。

しかし、英単語が持つイメージをしっかりと理解できれば、英語を正しく使うことは決して難しくありません。

この参考書では、日本人の英語への苦手意識のもととなっている様々な英単語を、イメージと絵を使って簡潔に分かりやすく解説してくれています。
訳し方の多い単語も、イメージを覚えれば根拠を簡単に理解できます。
すると、苦手だった英語も少しずつ楽しく思えてきて、学習意欲も高まります。

『英単語イメージブック』は、英単語をイメージで覚えて、「使いこなすための」英語の知識を増やしていける良書です。
持ち運びやすいハンドサイズなので、毎日持ち歩いて何度でも読み、英単語のイメージを掴みましょう!

英単語イメージハンドブック
大西泰斗, ポール・マクベイ
青灯社

自分にぴったりな英語教材・勉強法を見つける

目的別
TOEIC
英検
英会話
ビジネス英語
旅行英会話
レベル別
英語初心者の方
TOEIC300点の方
TOEIC400点の方
TOEIC500点の方
TOEIC600点の方
技能別
リスニング
リーディング
スピーキング
発音
ライティング
語彙力
文法